ダンロップα14のインプレvsロッソコルサ2vsパワーRS
各社ハイグリップタイヤのインプレ第三弾、今回はダンロップのハイグリップタイヤ「α14」のインプレッションです。またまた自分のZX10RRで試してみました。
今回はどのタイヤが一番「公道用的かつハイグリップ的キャラど真ん中なのか?」の結論を追記しました。
タイヤの印象を一言で表すと、、、
「The 日本人が日本向けに作った日本のタイヤ」
古くは真空管からソリッドステート回路から家電製品から工具から車まで、僕的に工業製品には色々と思うことが有るんですが、ダンロップα14は「日本のプロデューサー」と「日本の設計者とテストライダー」と「日本の材料」が手を取り合って作った「日本の工業製品」ですね。と言う印象でした。もし外人さんがいたら申し訳ないですが。
なぜそう思ったかと言うと、攻撃的な見た目と違って乗ってみると悩みまくった形跡が有るから。まぁ僕が勝手に思っているだけですけどね。
悩みまくったと思わされた要素を細かく言うと「公道用」と言う前提の乗りやすさ追求をどの要素で実現するのか?という所と、ハイグリップらしいタイム追求をどんな要素で追求するのか?と言う所。あとは性格に尖った所や凹んだ所が少なく感じたから。
それに比べてピレリ君の結果論的な割り切り感。というか「俺速いっす!!!」と言う分かりやすさがなんとも言えない。すこしはミシュラン君を見習えと、、、。イヤ、でも僕はそんなピレリ君は嫌いじゃ無いよ。
で、乗り比べてどうだったのか?
現時点でダンロップのα14、ミシュランのパワーRS、ピレリのロッソコルサ2と三種類を試してみましたが、驚くほど個性が違ってビックリですね。ロッソコルサ2とパワーRSのインプレは、このブログの最下段に有るリンクを参照していただくとして、まずは車高や前傾具合は以下の図を参照くだされ。
1)ロッソコルサ2ほど、タイムを特化的に意識した結果論的なスパルタンさを感じる程では無く、
2)かと言って、パワーRSほど意図的な程のフレンドリーさの演出感を感じるでも無く、
3)公道走行を意識した乗りやすさと、さりとてタイムも追求しなければ。と言う要素の両立を感じました。
各社バイクタイヤの剛性バランスが真逆
具体的にはですね、、、
●トレッドが高剛性でサイドウォールが柔軟(イタリアとドイツのピレリ勢力)
ピレリ ロッソコルサ2・スーパーコルサ系・メッツラーM7RR
●サイドウォールが高剛性でトレッドが柔軟(日本フランス連合)
ミシュラン パワーRS・ダンロップα14・α13SP
という感じ。
タイヤの柔らかさに関して言えば、ここいら辺の剛性バランスが各社バイクタイヤの乗り味の違いに現れていそうで、かつダンロップα14がミシュランパワーRSに近いところなのかな?と感じています。
ピレリやメッツラー勢とはタイヤの動き方がなんか違うんですよね。α14とパワーRSは。
で、具体的なポジションは?
超絶モトフリークの主観バリバリですがこんな感じです。
ほとんど傾向が一緒じゃん!!!って自分にツッコみましたが、図にして何度もウンウン再考しても「やっぱこうだよなぁ~」って思って元に戻っちゃうんですよ。
レーシー成分・公道乗りやすさ成分
レーシー感を出す成分と、乗りやすさの成分を分析するとこんな感じですかね?
ピレリロッソコルサ2
成分比は「レーシー成分が多い」
低温強さとシーランド比は公道の乗りやすさを狙った作為っぽさを感じるが、全体的にはあまり街乗りを意識していない速度性能追求結果論的な本気君。
レーシー成分
1)前後のタイヤの大きさ、車高の高さ、特に前タイヤの大きさが原因のキャスターやトレイル角など直進安定感。街乗りヒラヒラ感少ない。
2)タイヤの剛性感からくる乗り味の硬さ。かっ飛ばし時に焦点を当てた手応え系タイヤ。
3)つまり剛性やタイヤサイズは、タイムを求めた結果として採用した結果論的な印象。
公道乗りやすさ成分
1)スーパーコルサSPや旧ロッコルに比べると低温に強い。と言う感じ。
2)シーランド比(溝)とトレッドゴムの厚みからくる、表面ウネウネ感はスパコルSPよりちょっと有る。
3)それ以外の乗りやすさ成分は検出出来ませんでした。
ダンロップ α14
成分比は「両者ほぼ同量」
タイヤのサイズから来る車高やハンドリングは性能結果論的で、タイヤの柔らかさは乗り安さを考慮した作為的な感じ。
レーシー成分
1)前後のタイヤの大きさ、ロッコル2ほどでは無いが前タイヤの大きさから来る直進安定感。街乗りヒラヒラ感少ないがロッソコルサ2ほど逆ハンを切りたく成る訳では無い。
2)シーランド比(溝)の少なさから来る、トレッド表面のヨレ感の少なさ。
公道乗りやすさ成分
1)前作α13に比べ低温に強く、ライン取りも自由度が高い印象。
2)シーランド比(溝)は少なく感じるが、意外にトレッド面が柔らかく剛性が低く感じて細かい振動は少ない。パワーRSに近いが少し硬い。
3)ヨレないのに、ちゃんとヘコむ感じ。
ミシュラン パワーRS
成分比は「乗りやすさ成分が多い」
乗りやすさ演出感成分が多く、超絶に街乗りしやすくビックリする。結果として純粋なハイグリップタイヤでは無く、スポーツとハイグリップの中間的立ち位置スーパースポーツと言う結論。
レーシー成分
1)グリップは申し分無いです。上記2種と比べた場合それ以外のレーシー成分を検出出来ませんでした。
公道乗りやすさ成分が超満載!
1)車高低めでチョイ前傾。と言うか前輪が小さく感じてセルフステアが瞬間的でしかも大きい。
2)上記 1)のせいか、街乗りや低速の回頭性が猛烈に軽快で、上手くなった気がする。
3)そしてバイクが軽快に感じ手の内感が出てくるので、大型バイクのデカ重いツラさ感が少ない。
4)溝が少ないのに雨に強い。
5)そして三種の中では一番低温に強い。
6)トレッドの柔らかさもあり乗り心地が素晴らしくソフト。反面ストレートエンドの突っ込み過ぎはヨレる。
現時点での結論
以下は性能の優劣ではありません。論点はキャラクターの「らしさ」です。
では、以下の3点「好き嫌い」「先入観」「サーキットオンリーなど何かに特化した極端な使用前提」を排除して、現時点での結論として何が一番「公道用的」かつ「ハイグリップ」らしさを備えた「公道ハイグリップカテゴリーど真ん中の性格タイヤ」なのか?
では以下、現時点でのモトフリの結論です。
1)1年間を一種類のタイヤで走るなら、、、
結論) ダンロップ α14 ですね。
理由)「好き嫌い」「先入観」「なにかに特化した極端な使用用途前提」を排除すれば、α14が「公道用かつハイグリップの中と限定すれば一番キャラが中庸」だと思ったからです。
「公道使用を前提に考慮」された、パワーRSに近いけど少し剛性の高いバランスと、「かっ飛ばし時を前提に考慮」した時のタイヤサイズから来る安定感と言うか、ライントレース感がタイヤ一本の中にバランスされていると感じたからです。
他の2種は?)ロッソコルサ2は公道用と言うにはスパルタンに過ぎるし、パワーRSはハイグリップカテゴリーと言うにはスポーツタイヤ的な「乗りやすさ演出感」が強過ぎと感じました。
2)1年間を2種類のタイヤで使い分けて良いなら、、、
結論)
暑い季節 ピレリ ロッソコルサ2
寒い季節 ミシュランパワーRS
と言う使い分けですね。もしくは、、、
サーキットが多い時期 ピレリ ロッソコルサ2
街乗り・ツーリングが多い時期 ミシュランパワーRS
こちらの2種類は、全く逆の性格でキャラポジション的にはα14の両サイドに存在するタイヤです。
が、、、そんなキャラクターが使い分けるには凄く分かりやすく便利と感じました。実際自分のバイクで使い分けて良いなら、ロッソコルサ2とパワーRSを使い分ける可能性は極めて大です。
冬の峠なんてカチンコチンに凍える時があるんで、ツーリングタイヤでも良いですが「やっぱハイグリップじゃないと気分が、、、」なんていうライダー諸氏には、こんな使い分けも有りかな?と思います。
異論反論は有るかと思われますが、現時点ではこんな感想ですかね、、、、、、。
次回はブリヂストン
α14の次はブリヂストンを予定しています。
———-以下参考リンク———-
各社ハイグリップタイヤ比較インプレ Vol.1とVol.2はこちら
⬇Vol.1「ピレリ ロッソコルサ2」「ミシュラン パワーRS」比較インプレ
⬇Vol.2「ピレリ ロッソコルサ2」「ミシュラン パワーRS」比較インプレの続き
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