ヤマハSRX600 ピレリロッソ3 Hレンジラジアルにタイヤ交換&ベアリング交換
今回タイヤ交換いただいたのは、ヤマハの軽快な空冷シングルマシン「SRX600」です。
過去に一度知人のSRX600に乗せてもらったことがありますが、素直な車体とトルクフルなエンジンで、まさに軽快快速なスポーツバイクでした。
今回のSRXはブレーキキャリパーやブレンボラジアルマスターシリンダーなど、適切そうな手の入れ方でしたので、さらに走りは良くなっている事でしょう。
オーナー様のご要望は?
乗り方としては、基本ツーリングがメインで山の中で街乗りプラスα程度の軽いスポーツランとの事。
またそれ程距離を乗らないのでタイヤが減る前に寿命が来てしまう事と、ロングライフよりも対応力とそれなりのグリップをご所望でしたので、ピレリのスポーツカテゴリータイヤ「ディアブロロッソ3のHレンジラジアル」をご指名頂きました。
車格からするとZレンジラジアルでもおかしく無さそうですが、純正はHレンジ指定なんですよね。SRX600は。
ピレリ ロッソ3 HRはこんな感じ
Hレンジマシンに最適化された構造で、Zレンジ用ロッソ3がスチールベルトなのに対して、Hレンジは化学合成繊維使用しています。
でもまぁ正直な所、最近はZレンジのラジアルでもしなやかなタイヤが多いので、SRX600ならZレンジラジアルから走り方と相性良さ気なものをチョイスしても、全然問題無いと思いますけどね。
ロッソ3の良い点としては基本的にしなやかソフト君なので、軽いスポーツランでは全然問題ないドライグリップの良さと、意表をついて低温と特に雨に強い所でしょうか。
ボク個人の感想として、15年~10年くらい前に発表されたツーリングタイヤより、スポーツタイヤのロッソ3のほうが雨と低温に強い印象が有るんですよね。
10年一昔なんて言いますが、それだけタイヤの技術は日進月歩と言う感じで、パソコンの世界と変わらんと思います。
ところでパソコンのCPUがどれくらい進化したか調べたら、2007~2008年位のインテルcore2DUO上位チップと、最近のcorei9でベンチの方法でも差はありますが、実際は30倍前後くらい速さが違うらしいです。35倍差が出た記事も有りましたね。
ベアリングが壊れてた話
話はバイクに戻ってベアリングの話です。
モトフリークの場合タイヤを交換したら必ずベアリングやバランスをチェックします。以前から説明していますがベアリングチェックはバイクにホイールが付いた状態でチェックしても検査精度や信頼性に欠けるので、必ずホイール単体でチェックしないとダメです。
ましてや死んだベアリングでバランスをチェックするのは論外です。
結果として指示されたウェイトの重さが同じでも、貼り付ける場所がずれていたりする事も多いので、必ずバランス測定の前にベアリングの健康度をチェックしましょう。
で、このSRXちゃんもベアリングが完全にNGでした。
モ「オーナー様こちらのベアリングが壊れています。交換しても宜しいでしょうか?」
オ「了解しましたOKです。でもオカシイですね?前回に都内のタイヤ屋で交換してもらったばかりで、まだ7500~8000km前後しか乗ってないんですけどね、、、」
モ「では、こちらの振動と異音をご確認下さい」
オ「あ、振動と異音が出てますね」
モ「では交換します。あ、ベアリングがカチャカチャ異音してます」
妙に早く死んだ原因を探りつつ、ベアリング交換です。
んで、原因がわかりました。
「打ち込みの浅過ぎが原因」です
下図で言うところの赤いパーツ「ディスタンスカラーが左右にカタカタ緩る過ぎ」でしたもん。もちろん適切な範囲内のカタカタ少なめクリアランスならOKですけど、逆にキツ過ぎる打ち込みもNGですからね。キツ過ぎはシャフトを本締めしても内輪が外側に出過ぎ状態です。
一般論で語る事を許されるならばと言う前提ですが、大型バイクに使われる様なサイズのベアリングで許される左右片側の誤差(与圧=プリロード)は5~10μmくらいとしましょう。
つまりディスタンスカラーと、二度目に打ったベアリングの隙間は、10μmくらいしかプラマイが許されないって事です。
以下、チョイ上級者向け
機械・材料工学に詳しい方を想定した超厳密な話をするならば、適切な与圧は静粛性などで優位ですが、プリロード過多で失敗する可能性や高温時の熱膨張による短所も有る為、基本的には与圧ゼロで全然問題ございませんし、いわゆる「無難」ってヤツです。
一般深溝玉軸受のラジアル内部すきま
呼び内径(mm) | ラジアル内部すきま | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
を越え | 以下 | C2 | C0 | C3 | C4 | C5 |
2.5 | 6 | 0~7 | 2~13 | 8~23 | 14~29 | 20~37 |
6 | 10 | 0~7 | 2~13 | 8~23 | 14~29 | 20~37 |
10 | 18 | 0~9 | 3~18 | 11~25 | 18~33 | 25~45 |
18 | 24 | 0~10 | 5~20 | 13~28 | 20~36 | 28~48 |
24 | 30 | 1~11 | 5~20 | 13~28 | 23~41 | 30~53 |
30 | 40 | 1~11 | 6~20 | 15~33 | 28~46 | 40~64 |
40 | 50 | 1~11 | 6~23 | 18~36 | 30~51 | 45~73 |
50 | 65 | 1~15 | 8~28 | 23~43 | 38~61 | 55~90 |
65 | 80 | 1~15 | 10~30 | 25~51 | 46~71 | 65~105 |
80 | 100 | 1~18 | 12~36 | 30~58 | 53~84 | 75~120 |
図にすると以下の通り。
一応A3サイズのイラレなんですけど、説明文読めますかね?見えづらい方は画像をアップしてみて下さい。
タイヤとベアリングを交換した後、ホイールを回しながら本締めしても、動きが軽いし減速も遅い。あくまでも「シャフトを本締めした時に動きが軽い打ち方が正解」です。
ちなみに両側ドン付きで、オフセットが無いベアリングの打ち方が正しいホイールも多いので、必ずオフセットが有るわけではありません。たまに無理やりオフセットを付けようとする方もいらっしゃるので、それは無駄な努力です。
ベアリングに関する過去ブログは結構書いているので、モトフリークHPの左下ブログの「バイク豆知識レビュー」タグをご参照下さいませ。
あ、そうそう。肝心な宣伝を忘れてた!!!
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