さて今回は、、、
ピレリのスポーツ~ハイグリップカテゴリータイヤ「ロッソ3」にタイヤ交換いただいた、 カワサキZ1000のご紹介です。
オーナー様のご希望は?
オーナー様はツーリングや峠のスポーツランを目的として、最適なタイヤを探していらっしゃいました。
目を三角形に吊り上げてヒザをする様な走りではありませんが、スポーティーなハンドリングと転倒しない保険としてのグリップ、雨天時の対応力や温まりやすさなど色々考慮いただいた結果、ピレリのロッソ3になりました。
そしてもう一つのオーダーは「フロントが硬くて跳ねる」から解決してほしい。と言うものです。
ピレリ ロッソ3ってどんなタイヤ? 履くと何が良くなるの?
技術論など詳細はメーカーHPをご覧いただくとして、私のインプレッションを書いてみます。
まず公道用タイヤは大きく分けてハイグリップ・スポーツ・ツーリングと3カテゴリーくらいありますが、ロッソ3は「基本的な性格がスポーツタイヤ」で「走りが激しくなった時の対応力がハイグリップタイヤ」と言う印象です。強いて言えば「基本の性格は」スポーツとハイグリップの中間より少しスポーツ寄りですかね。
誤)ハイグリップタイヤに → スポーツタイヤの様な乗りやすさを追加!
では無く、、、
正)スポーツタイヤに → ハイグリップタイヤの様な攻めの性格を追加!
と言った印象。
普段の待ち乗りや直立走行時の印象はスポーツタイヤの様で、雨や荒れた路面などに柔軟に対応しているのに、いざ激しい走りをしてバンク角が増えてくるようなシチュエーションだと、ハイグリップの性格が顔を出してくると言う感じですかね?
しかもそれがサイドのコンパウンドがセンターよりハイグリップ!などという単純なモノではなく、内部構造や材質など根本的に改善している訳で、相当に器用で対応力の広いタイヤだと思います。
また、温まりやすさや耐ウェット性、乗り心地のソフトさから来る安心感は「メッツラーM7RR」より上に感じます。ただし重いバイクなどの耐久性は「M7RR」のほうが少し上かもしれません。
そのサスペンションに異議アリ!!!
オーナー様はバイクの乗り味に少々不満をお持ちのようでしたので、少し調べさせて頂いたところ、、、
リアサス ナイトロン
さすがにナイトロンはフリクションの少ない綺麗に動くリアサスで、リンクやスイングアームの動きにも問題はなさそうでした。タイムラグの無い作動が気持ちよいですね。
やわらかく感じるんですがスプリングやダンパーが柔らかいと言う単純な事では無く、フリクションが少なくてタイムラグが無いからソフトに感じるのです。ソフトに感じるんですけど実際はしっかりと踏ん張ってくれます。結果としてリア周りには大きな問題は感じませんでした。
フロントサスは「ダメだコリャ~!」
まずダストシール周りのフリクションロスがハンパ無く、フロントサスがストロークする最初の1~2cmくらいの動きが渋すぎてタイムラグを感じます。ですので「とあるケミカル」でシールを内部から潤滑。オーナー様に跨って揺らして頂いたところその違いに納得いただきました。
変な例えですが、フロントのフリクションは余裕で圧側ダンパー10クリック分くらいの抵抗を感じます。まぁZ1000のフロントに圧側は無いんですけどね。
でもそれだけにフロントをアクセルのオンオフだけで綺麗に「縮みやすくの伸びずらい」セッティングにするには、フリクションの無い綺麗なストローク性が必要です。ココらへん皆様にも僕の気持ちが分かって頂けると嬉しいんですが、、、。
フロントフォークシールの良くある誤解
フロントフォークのシール部分は、内部のサスペンションオイルが適量インナーパイプに塗布される事で、潤滑と防錆を実現しています。つまりフォークオイルは減っていくわけです。
でも少しでもオイルがインナーパイプに付いてると「オイル漏れだー!・クレームだー!!!」と言うライダーがいるから、メーカーはキツくて硬いシールを装着して「動きが悪くて・さびやすいフロントフォークにせざるを得ない」のです。
町乗り→スポーツ走行→サーキットと走りが激しくなるにつれて、インナーパイプの潤滑はしっかりとしないといけないので、きつくてフリクションロスがあるシールは宜しくないのです。
ですから低フリクションの高性能シールを使用しているライダーは、くれぐれも「なんかコレ、フォークオイル出過ぎじゃね?」と思わないように。
フロントアクスルシャフトとブレーキも「ダメだコリャ~!」
ブレーキの引きずりが酷くて手で回しても半周くらいで止まりました。これではブレーキをかけながら走っている様なものですから、走行時は常に前が低くなってしまい前後ディメンションも狂ってしまいます。
原因を調べてみるとフロントフォークとアクスルシャフトが綺麗に直角が出ていない印象で、そのせいかブレーキディスクとパッドが片当たりしている様です。
そこで「ある方法」でフロントサスとアクスルシャフトを綺麗に精度出ししてから、左右のキャリパーピストンをモミ出ししてみると、やはり引きずりは解消しました。多少パッドに偏磨耗の癖が残っていますので、アタリが出れば動きはもっと良くなるでしょう。
いろいろ手直しした結果、、、
フロントが高く加重が掛からない、つまり最初にリアから動き出してフロントがワンテンポ遅れて動き出す感じが少~し残っていたので、「プリロードいじりました?」とお聞きしたところ、やはりいじって有るようでした。
フロントプリロードを半回転緩めてみると前後が時間差なく同時に加重され、タイムラグ無く綺麗な前後シーソー運動が出てきました。これでOKでしょう。
各部チェックと一通りの説明を終えてから「自宅に着いたら印象を教えてください」とお伝えしました。
数時間してからお電話を頂いたのですが「フロントのバタつきも無くなり、乗りやすくなりました」とご報告を頂きました。オーナー様も満足頂いたようでしてモトフリークも嬉しく思います。
悩んだらスグにお電話を!
タイヤやサスペンションに悩んでいらっしゃる方、または「気持ちよく曲がれない」など漠然としたことであっても、絶対に原因は存在します。それを「発見、報告、改善する」のがモトフリークの仕事です。
足回りのホームドクターとしてご用命いただけましたら幸いです。
「原因と症状は別物 対症療法では解決しない!」 タイヤ選びや足回りに悩んでいるライダーへ http://motofreak.jp/?p=5293
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