ピレリ「ディアブロ・ロッソ・クアトロ・コルサ」インプレ

ピレリから発表された、最新ハイグリップタイヤ「ディアブロ・ロッソ・クアトロ・コルサ」。「早くブログをアップせねば!」と思っていましたが、多忙過ぎて一ヶ月掛以上掛かっちゃいました。しかしやっとタイヤの慣らしも終わり雨天走行も数回経験したので、他社製品との比較も交えて僕なりのインプレを書いてみます。

 

バイクと空気圧

ZX10RRで、窒素の冷間時測定 前2.3、後2.15~2.2です。
フロントスプロケットを17T→16Tにして、加速方向クロス気味。

 

ピレリタイヤの覚え方と、ミシュランとの印象の比較

まずはクアトロコルサの具体的なインプレの前に、ピレリタイヤは名称が複雑なので、モトフリでの略し方まで含めて以下にまとめます。

ピレリディアブロロッソ4クアトロコルサ比較 バイク・オートバイタイヤ交換東京モトフリーク

そしてピレリを基準にしてミシュランと比べてみると、セグメントと言うかカテゴリーと言うか、少しずつ性格がズレている印象を受けます。

単純に言えば、、、、、、

「ミシュランは軽量ソフトで普段遣いのフレンドリーさや安心感が目立つスニーカー」
「ピレリやメッツラーはコシやハリが有り、しっかり足元が踏ん張る型崩れし難い革靴」

と言う違いを感じます。

 

慣らし走行とタイヤ硬さ感の関係

スポーツタイヤの「ロッソ・クアトロ」も、ハイグリップタイヤの「クアトロ・コルサ」も、両方とも「ミシュランと比べると最初はカテゴリーの割には細かい振動が伝わる固さ」を感じます。

慣らし走行は50~100kmくらいの距離を予定していたんですが、実際は200kmくらい掛けて段々と終了するようです。これはミシュランのパワー5でも感じたので、他のメーカーもそう考えて大間違いは無い気がします。そしてシッカリと慣らしを完了させると、雨天での安心感に差を感じるようになります。

イメージとしては下図の通り

慣らし完了度ピレリディアブロロッソ4クアトロコルサ バイク・オートバイタイヤ交換東京モトフリーク

 

では、どんな印象の固さなのか?

路面の小石を踏んだ時など、タイヤが半径方向に凹むのは、ミシュランやダンロップタイヤよりやや固く感じる。

典型的ラジアルタイヤな性格と思われるピレリやメッツラーは「トレッドが固く、サイドウォールが柔らかい」ので、路面の出っ張りなど、下から上方向の力に対してはやや固く感じる。つまり「潰れてくれるタイヤと言うより、潰すタイヤ」と言う性質を強く感じる。
・短所は細かい5mmくらいのアスファルトの粒粒感が細かく手に伝わる。ただし慣らしが終わる忘れた頃に意外とソフトに成っている。
・長所はスポーティーな走りほど、ブレーキングやアクセリングでタイヤを上から下方向に押し付ける力が発生し、それを操る時に有利。
・またタイヤの凹みの柔らかさに比べ、加速減速時の前後のムニムニ感が少なくハリがあるため、アクセリングやブレーキングでよれにくいのは長所。例えばストレートエンドで突っ込みすぎた時のブレーキングでも、フロントがガシっと安定する傾向が有り安心感が強い。

逆にバイアスタイヤの様に全体の固さを平均化する為、「トレッドを柔らかく、逆にサイドウォールを固くする」とミシュランやダンロップのように、路面の突き上げ、つまり下から上方向の力が加わった時にソフトに感じ疲れづらい。
しかし強い加速減速時の「接地面前後ムニムニしない安定感」は、ピレリに僅か譲る気がする。

つまり下図の様な感じ

ピレリミシュランタイヤ潰れ感慣らし完了度ピレリディアブロロッソ4クアトロコルサ バイク・オートバイタイヤ交換東京モトフリーク

やはりミシュランとの比較で、ピレリは「積極的に攻めた時のシッカリ感が安心感につながる」感じで、ミシュランは「普段遣いのフレンドリーさを忘れない」と言う違いを感じます。しかしシッカリと慣らしを終えると、クアトロコルサは意外なほどソフトに成りました。

んで、つまり何が言いたいかというと「交換した瞬間のかたさ感からくるイメージと違い、慣らしが終わるとウェットに強く初期グリップも良いので、その意外性に驚いた」と言うことです。

 

「普段はスポーツ、攻めればSP、足して2で割りゃハイグリップ」

で、やっとクアトロコルサの具体的なインプレになるんですが、「普段はスポーツ、攻めればSP、足して2で割りゃハイグリップ」と言う印象です。
つまり普段使いのマイルドさと、攻めた時のグリップ感の両立が凄い高次元に感じます。
以前から「センターがスポーツタイヤ的性格で、サイドが超グリップ」と言うタイヤが有ったら、ストリート用ハイグリップタイヤとして1つの理想形だな。と思っていたんですけど、クアトロコルサはまさにソレ。

●走り始めのドライグリップ

これはズバリ100点満点!でしょう。
具体的には僕の自宅から500メートルくらいのコーナーで、40°位バンクしてタイヤの端10mmまで使うくらいのバンクで加速しても全く滑りませんでした。
それがどれくらいの加速かと言うと、「ノーマルの国産2000cc NAスポーツカー」では付いてこれないくらいの加速かそれ以上の加速。エンジンが1速高回転で良い音になるくらいの加速。と言う感じで皆様に伝わるでしょうか?慣らし以前に感じた固さと全然違うタイヤのソフトなグリップを感じます。旧型ロッソコルサの頃のピレリには感じなかった印象です。
基本的にピレリは「良くも悪くもヤリ過ぎる方向でタイヤを作る」ので、「長所は凄いが、好き嫌いも分かれる」みたいな過激な印象を持っていました。しかし慣らし最中の固さ感からすると、ピレリなのに「他人に対して器用な優しさ」を発見して驚いた。そんなタイヤです。慣らし重要。

●温まった時のドライグリップ

センターは、やや穏やかなバンク感とスポーツタイヤ的なマイルドさを感じますが、公道用ハイグリップタイヤとして考えれば全く問題なし。と言うかむしろ優秀。
特に素晴らしいと思ったのは30~40°くらいのバンクでのグリップ感とソフトさの両立です。単純グリップと「サーキットのような超平らな道」で有れば、スパコルSPにやや軍配が挙がる気がしますが、それでも他社の同じハイグリップタイヤと較べても優秀だと思います。固くて跳ねることも少ないので、情報量もシッカリ伝わってきます。
サーキットや超平らな綺麗な道での究極的グリップは、ミシュランのパワーカップ2やスパコルSPが少し上を行くと感じますが多分少しの差です。低~中温やウェットのグリップまで考慮した「全温度域グリップ力の合計」は、クアトロコルサが勝つ気がします。「力積」みたいな感じ?
むしろ高価なサーキットタイヤが減ってきたのに、もったいないからとギリギリまで長く使うより、安くて寿命も長いハイグリップタイヤをシッカリ交換して使ったほうが、ストリートでも安全かつグリップが上で健全だと思います。

●雨天時のウェットグリップ

一番驚いたのはセンターのウェットグリップの良さです。
具体的には8月上旬の大雨と8/20(土)の雨天で5回くらい試しました。場所は田端駅近辺の明治通り。
前提として「慣らし完了前のピレリ的な固さの先入観から来る不安感が消えていなかった。」と言うのはご理解頂きたいですが、時速50kmからリアブレーキを「ガツンとフルブレーキ」してもABSが介入しなかったんですよ。
ハイグリップタイヤでコレは驚きでした。
「まぁABSが有るからコケる事は有るまい」と思いながらリアをガツンと踏んだら、ブレーキディスクから「クゥ~~~」みたいな断末魔的サウンドが聞こえて来たんですけど、そこまで強く掛けてもABSが介入しないんです。お陰で予定位置よりだいぶ手前で止まっちゃいました。

リアブレーキパッドはRKの903MAXなので、特に強力!というわけでは無いですが、ストリート用としては平均以上の効きは有り、それでもABSの介入は無し。フロントも同じくRKの899MAXで、ギュ~~~とだんだんブレーキを強くしていき、フォークがフルボトムしだしてリアの接地感が無くなり始めるくらいまで強く掛けましたが、滑る気配なし。
8月の高気温が味方している可能性は高いですが、カテゴリーが違いますけど、特にセンターはスパコルSPやパワーカップ2より確実にウェットに強いと感じます。

●タイヤの中と外(トレッド面)の一体感

摩耗するまでの長距離を走ってはいないので、断言は難しい所もありますが、クアトロコルサは、ロッソコルサ2と較べても、内部とトレッドの一体感を強く感じます。「中だけ固くて、トレッドが柔らかいから、タイヤが減ると固さが変わる」と言う変化感が少ないのではないか?と予想します。

例として、スパコル系の様に中外が高剛性で一体感の有るタイヤは、「超絶平でキレイなサーキット路面」みたいなところは良いんですが、荒れた道では跳ねて怖いことがあります。しかしクアトロコルサはソレが有りません。もっと懐が深いです。

 

サスセッティング

スパルタンさの中にも優しさが有るタイヤなので、ホンダのCB、ヤマハのMT、カワサキのZやNinja、スズキのSV系、などスポーツ~ネイキッド系でも恩恵は十分有ると思います。しかし「SS的なグッと粘る腰のあるダンパー」くらいまで固くすると、俄然クアトロコルサの面白さが見えて来る。と言うのも正直な意見です。
走り始めの低~中温時からグリップが良いタイヤなので、走り方や空気圧に対して圧・伸びが柔らか過ぎると、バイクがシーソーの様にストロークし過ぎて、上りの加速でアンダー、下りの減速でフロントが切れ込みオーバーステア。的になる可能性が有るカモです。そんな時は是非ともサスセッティングにチャレンジしてください。十分労力が報われる可能性を秘めたタイヤです。

 

空気圧

あくまでも慣らしが終わってタイヤ性能が安定してから、自己責任でお願いしたいですが、、、、、

正規以外の空気圧をオススメするのは、リスクも含めて正直気が引けるのですが、ドゥカティの同じカテゴリーバイクの空気圧を参考にしてみるのも、面白いかな?と思う時があります。基本的にクアトロはコシが有るタイヤなので、一人乗りのそこまで重くないバイクで、冷間時測定で前2.5、後2.9は、少々もったいない気がするのも正直な所です。

 

思うにコンセプトの段階で超良い

勝手な想像でしか無いですが、たぶんコンセプトの段階で既に凄く良いんだと思います。性格と用途が違うタイヤですが、ミシュラン・パワーRS以来の感動でした。「あぁ、そう言う考え方とアイディアが有るのね、、、」みたいな。ジョブスのG3 iMac的アイディア感。

 

結論「自走で峠からサーキットまで走る方に最高のタイヤ!」

例として高速道路を使用したツーリングで奥多摩や伊豆を走るけど、たまにサーキットも走る。という方には最強におすすめしたいタイヤですね。

「自走で筑波2000で1分10秒切を目指してます」とか、「自走でトミンで29秒台です」という方でしたら、性能的に超余裕かつ最強コスパタイヤだと思います。そのサーキットに慣れている方でしたら、筑波2000で1分5秒、トミンで28秒切りくらいは行けるでしょう。
もっと上手いライダーさんだと1分3秒とか26秒台。とか出しちゃうと思いますけど、そういう特に早い方はまたタイヤとは別の要素の話です。

繰り返しますが、上記サーキット走行だけ。でしたらスパコル系が良いですが、下道やツーリングまで考えると、スパコル系よりクアトロコルサをオススメいたします。と言うか上記使用用途の場合、僕だったら間違いなくスパコル系よりクアトロコルサを選びます。

 

はっきり言ってスゲー好きなタイヤです。用途が合っているライダーさんでしたら、自信を持ってオススメいたします! そして絶対に慣らし走行をするのですよ!!!

 

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